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リクルートの面接対策/中途採用の特徴とよく聞かれる質問例

リクルートは2021年4月に組織再編を実施し、これまでのサービス領域ごとに分社化されていた組織形態から株式会社リクルートホールディングス、株式会社リクルートの二つの大きな組織に統合されました。(リクルートキャリア・リクルートジョブズ・リクルート住まいカンパニー・リクルートマーケティングパートナーズ・リクルートライフスタイル・リクルートコミュニケーションズ・リクルートテクノロジーズが吸収合併されました。)

基本的には株式会社リクルートホールディングスがグローバルビジネスを、株式会社リクルートが日本国内のビジネスを管掌しています。海外売上比率が40%を超えてくる中、グループの時価総額は10兆円を超え、日本の中でもトップクラスの事業規模を誇ります。

組織再編のタイミングで株式会社リクルートホールディングスの代表取締役社長に就任された出木場氏は過去にIndeed, IncのM&A、経営に携わってきている実績があり、株式会社リクルートホールディングスは今後もグローバルM&Aを積極的に実施していく経営方針です。

一方国内の株式会社リクルートについても事業モデルの転換期に来ています。従前のリボン型のビジネスモデル(クライアントとカスタマーの負が大きいビジネス領域においてマッチングポイントを創出し、プラットフォーマーとしてWebビジネスを展開してきました。じゃらんやホットペッパー、ゼクシィといったみなさんがよく知る代表的なサービスもこのビジネスモデルです)からAirレジに代表されるSaaSビジネスに今後さらに注力していく流れになってきています。

本記事では常に時代の先を読み、組織規模が大きくなってからも絶えず『変化』していくことに挑戦し続けるリクルートへの転職を考えている方向けに同社の面接の特徴とその対策、よく聞かれる質問例と面接官の意図などをご紹介していきます。

目次

中途採用における面接の特徴

一般的にも認識されている通り、リクルートグループでは経営資源としての“ヒト”に対するプライオリティが高い会社です。人材に対する考え方は以下の同グループの人材開発方針でも読み取ることが可能です。

国内グループ会社では、「価値の源泉は人」と考えています。従業員に対するベースとなる考え方は「一人ひとりが起業家精神を持ち成長を続ける」ことです。そのために「成長する機会を提供する」ことが人材マネジメントの役割です。リクルートグループは業務、自己啓発研修を通じて一人ひとりが成長する機会を提供することにコミットしています。国内グループ会社では、これまでグループ内で暗黙的に大切にされてきた価値観を「6つのスキル・4つのスタンスとして整理しています。評価や育成の場面では、特に「自分はどう考え、何をすべきだと思っているのか」を常に問う「圧倒的な当事者意識」を持つ人材となることを重視し、国内グループ会社で実践しています。

(リクルート・ホールディングス人材開発方針より抜粋)

そのため面接でも業務のスキル経験だけではなく人物面の特徴(以下、「キャラクター」といいます)が重要視されます。過去の行動事実をもとに転職候補者の志向性や判断基準を深掘りしていくことにより、自社で活躍しうる人材なのかどうかを見極めます。

  • 行動事実(過去どのような行動をしてきたか、比較的大きな出来事においてどのような決断をしてきたか)
  • 行動理由(なぜその行動をしたか、なぜその決断をしたか)
  • 欲求・価値観(その行動、決断にいたらしめた内的動機(モチベーション)はなにか)
  • 性格・資質・原体験(何によって欲求・価値観が形成されたか)
  • という流れで「なぜ」「どのように」を繰り返しながら深掘りは行われます。面接で滞りなく受け答えするためには各掘り下げ段階においてご自身の考えを言語化できている必要があります。

    また、リクルートグループでは従業員一人ひとりが仕事を通じて実現したいこと(Will)を明らかにし、上長とすり合わせ、その実現のために何ができるか、どのようなことができるようになる必要があるか(Can)を確認した上で、何をすべきか(Must)を考える目標設定を半年ごとに行っています。これは従業員がキャリアを考える上でもフレームワークとなっています。

    中途採用においても仕事を通じて実現したいこと(Will)はほぼ必ず質問される項目になります。リクルートグループに入社することを目的にするのではなく、「Willを実現するためにリクルートグループというフィールドを活用したい。」という自身の意思を伝えられるように準備しましょう。

    リクルートはトップダウンではなく、ボトムアップで自由を基調とする文化を非常に大事にしており、企業文化としても根付いている会社です。社員一人一人においても自律的に自分自身のキャリアを考え、築いていくマインドが重要視される会社であることを認識した上で面接に臨んでいただければと思います。

    必須となる自己分析ノウハウ

    前述したようにリクルートの面接は人物面について深掘りをされることが多いため自分自身を客観的に理解すること、そしてそれを説明できることがとても大切です。そのためいわゆる自己分析をしておくことが必要になります。

    多くの方が就職活動を通じて通ってきている道ではあると思いますが改めて現時点で自分自身がどのような人間で、どのような特徴を持っているのかを面接官に伝えられるようにしておきましょう。

    参考図

    参考図のように過去の特徴的な事実とその背景を振り返りながら

    • どのような場面において
    • どのような自分の特徴(強み・弱み・志向性・価値観・欲求など)が理由となり
    • どのような結果・パフォーマンスになったのか

    を把握しておくようにしましょう。

    自己分析をするにあたって自身の内面を把握するには他の人からの客観的な視点や、自分とは違う視座からの指摘なども有効なため自分一人で考えるのではなく、友人や信頼できる転職エージェントなどを活用することもおすすめです。

    中途採用面接の難易度

    一般的にリクルートの中途採用面接の難易度は高いとされていますが実際に通過率はどのくらいかというと、応募をして書類選考から始まり内定(オファー)に至る確率がおよそ2〜3%程度と想定できます。

    • 書類選考の通過率が約40%
    • 一次面接の通過率が約20%
    • 二次面接の通過率が約50%
    • 最終面接の通過率が約60%

    おおよそこのような通過率が目安となってきます。

    リクルートは人物面を重要視する社風のため、書類選考については求人票に記載されている要件を満たしている方であればあまり心配はいりません。チャレンジで応募する方や、要件の見立てができていないエージェントの方に担当されている候補者の方が無謀なポジションに応募したりするケースがあるため通過率が低く見えるだけです。

    一次選考の通過率が最も低いのはやはりリクルート特有の深掘りされる面接スタイルに面食らってしまう方が多かったり、書類選考自体が比較的甘いためスキルや経験を確認した結果ポジションにマッチしないと判断されてしまうようなことが多いからと言えます。

    面接官に応じてチェックされる観点も変わってくるためステップごとに適切な面接対策を行っていきましょう。

    面接のステップ

    基本的な選考のステップとしては書類選考・SPI・面接となります。面接フローは選考を受けるポジションによって変わる可能性もありますが基本的には3回から4回程度と考えておきましょう。人事との面接と現場メンバー、現場責任者との面接が設定されます。

    人事との面接では特に人物面での深掘りを通じてリクルートの社員としての適性があるかどうか、現場との面接では持ち合わせているスキルがポジションにマッチするか、たとえスキルが少し足りなかったとしても入社後にキャッチアップしていくことができるかどうかをジャッジします。

    なお、一回の面接の所要時間はおおよそ1時間程度です。長い場合だと1時間半程度だったという方もいらっしゃいます。また、面接結果については面接の実施時間帯にもよりますが早ければ即日、遅くとも2〜3日で出てくることが通常です。現場の業務の繁忙によって1週間程度かかることもごく稀にありますが過去のケースを鑑みると面接結果の返答が遅いほどネガティブな結果になることが多い傾向です。

    人事担当者(メンバー・リーダークラス)

    一次面接に出てこられるケースが大半です。これまで経験してきた業務内容のヒアリングを通じてポジションにマッチするかも判断しますが、ヒアリング内容を深掘りすることで業務に対するスタンスや地頭の切れ味、キャリアの志向性などを把握しにきます。人物面のヒアリングについてはかなり細かく実施されるため、人によっては少しうざいと感じてしまう方もいるかもしれません。ただし、この面接で聞かれる転職理由やキャリアの志向性にきちんと受け答えができるレベルになればリクルート以外の会社の面接でも十分に通用すると考えていただいて良いかと思います。

    人事責任者(GM・部長・執行役員クラス)

    最終面接に出てこられるケースが多く、リクルートの社員としての適性を判断する他、現場面接の評価が適正かどうか、オファーを提示するにあたってどのグレードが適切かについても意見をする立場にあります。最終的なオファー内容、待遇提示は現場責任者と人事責任者の間でコミュニケーションをとった上で決められます。

    現場メンバー(メンバー・リーダークラス)

    面接に出てこられるというよりかはカジュアル面談など候補者がよりポジションの業務内容について理解を深めたい場合やリクルートのカルチャーを知りたい場合などに選考とは別の機会に出てこられることが多い印象です。リクルートはフランクでカジュアルな組織風土でもあるため、より内情を知りたい場合などは人事もしくは転職エージェントなどに面談を依頼して現場メンバーの方との面談をセットしてもらうのも良いでしょう。

    現場責任者(GM・ユニット長・部長クラス)

    ポジションを統括する責任者として面接をした候補者を採用したいかどうか意思決定をします。GMクラスの方は一次選面接官として出てくることも多々あります。基本的には履歴書、職務経歴書をベースにこれまで取り組んできた業務内容や実績、成果、工夫点についてのヒアリングを実施しながらポジションにマッチするかどうかを判断します。GMクラスの方が一次面接で出てきた場合、二次面接でユニット長、部長クラスの方が現場側の最終採用意思決定者として出てきますがベーススキルのチェックは完了しているため比較的通過率が高い傾向にあります。

    なお選考ステップを全てクリアするとオファー面談という待遇面についての詳細説明やお任せしたい業務や期待したい事項を説明する場がセットされます。

    リクルートはミッショングレード制という人事制度を採用しており、面接での評価によってミッショングレード(どのくらいの難易度の業務をお任せすることができるかによって変動する社内ランクのようなものです)が決まります。このグレードに理論年収が紐づいているため、面接の合否だけではなく、面接での人物評価もとても重要になります。

    面接対策チェックポイント

    リクルートの中途採用面接においてのチェックポイントも確認しておきましょう。リクルートの面接難易度は他社と比べて高い(スキル・仕事に対するスタンス・キャラクターなどバランス良く評価されることが必要になります)と言えますが、面接で確認される内容自体は特殊ではありません。面接対策をしっかりとしておくことで選考通過率も変わってくるので大変ですがきちんと準備をしていきましょう。

    スキルのマッチ度合い

    中途採用の面接は当然にこれまでみなさんが経験してきた業務を通じて得てきたスキルや出してきた成果が評価される場となります。そして高く評価されるためには実際に現場で遂行されている業務に対して、これまでの経験やスキルを活かすことができる、パフォーマンスに再現性があると判断してもらうことが大切です。

    リクルートの面接においても、期待される業務内容がどのようなものであるかを十分に把握をした上で、みなさんの現職の経験の中から再現性を面接官に感じてもらえる経験・実績を伝える必要があります。

    転職理由・志望動機

    面接対策で最も重要なことは以下のような流れで自分自身が腹落ちできるストーリーを面接官に伝えることです。そして転職理由、志望動機というのはそれぞれが単体で語られるものではなく、転職活動をしていく上での皆さんの考えや想いと連動して考えられるべきものです。以下の流れに沿ってあなた自身の転職ストーリーを組み立ててみてください。(※以下の流れの中でSTEP2が志望動機にあたり、STEP4が転職理由にあたります。)

    STEP
    これまでの経験・成果の説明

    わたしはこれまで〇〇という仕事を通じて〇〇というスキルや経験があり〇〇という実績を出してきました。

    STEP
    将来的に取り組みたい、手に入れたいものの説明

    将来的には〇〇という業務(立場)で〇〇に取り組んでいきたいと考えています。そのため御社の〇〇というポジションで経験を積み、実績を出して貢献していきたいと考えています。

    STEP
    STEP2の理由背景

    なぜそのように考えているかというと私には〇〇という想い(考え)や〇〇という原体験があり、〇〇な状況、シチュエーションにおいてモチベーティブに動く人間だからです。

    STEP
    転職を考えている理由

    ただし現職においては〇〇(時間的制約や社風など自分自身の力ではなかなか変えづらいもの)が理由で思い描く将来が手に入りずらい状況にあります。そのためそのためわたしは転職というリスクを冒してでも〇〇を手に入れたいと考えています。

    リクルートでは志望動機が聞かれないという記事も時々見ますがこれは誤りです。担当する面接官によってはなぜリクルートを志望しているのかを質問される可能性があります。ただし、いわゆる就活マニュアルで書かれているような会社に合わせた志望動機を作成する必要はなく、自分自身が描きたい将来に対してなぜリクルートが適切なフィールドなのかを説明できることが求められます。

    キャリアの志向性

    キャリアの志向性は志望動機にも通じますが業界や業種、業務内容、立場、役職、働き方など求めるものはひとりひとり違うものです。さまざまな角度から自分にはどのようなモチベーションがあり、どのようなことを成し遂げると満足感を感じやすいのかを考えてみましょう。

    リクルートでは入社後、Will-Can-Mustシートを使って目標管理を行うため、本人が実現したいこと(Will)、活かしたい強みや克服したい課題(Can)、業務目標や能力開発につながるミッション(Must)という項目を面接官も気にかけます。この目標管理は本人と上司が対話をしながらすり合わせを行い、最終的には本人が主体的・自律的に取り組めるように設定するもので特にWillについては面接でもよく確認されるので面接対策をする上でとても大切です。

    この部分は考えていく中で壁にぶつかりやすい部分でもありますので以下の記事も参考にしてみてください。一人で考えるのではなく、同僚や社外の友人、転職エージェントや自分自身にとってメンターと言える存在の人などと話をしながら考えていくことで違う視点や視座からのアドバイスをもらうこともできるのでぜひ頼ってみるようにしてください。

    リクルートで働く人材として適切かどうか

    人材開発方針にも明言されているように以下の観点でリクルートで働く人材として適切なスキル・スタンスを持ち合わせているかが確認されます。

    4つのスタンス

    • 圧倒的な当事者意識
    • 考え抜く・やり抜く姿勢
    • 広く・深く学び続ける姿勢
    • チームとして協働を追求する姿勢

    6つのスキル

    • 構造で捉え俯瞰して見る力(見立てる)
    • 分析的に捉え問題を特定する力(見立てる)
    • 筋の良い仮説を立てる力(仕立てる)
    • プロセスを作り込む力(仕立てる)
    • ビジョンを打ち出す力(動かす)
    • 人を理解し統率する力(動かす)

    リクルートグループはこれまで組織変容を重ねながら事業成長を成し遂げてきた企業です。そのため「変化に対する柔軟性」や「素直さ」と言った点もリクルートの社員として活躍するための資質だと考えられています。

    自身のこれまでの業務(日常生活の中の話でも問題ありません)におけるエピソードの中から、求められるスタンス、スキルと紐つけることのできるトピックスをいくつか用意しておく(思い返しておく)ようにしてください。

    よく聞かれる質問例と面接官の意図

    これまで弊社を経由してリクルートの中途採用に挑戦した方から情報をいただき、よく聞かれていた質問を列挙します。

    リクルートの面接では質問に対する回答をした際に、回答の背景について「なぜそのように考えたのか」「なぜそのような判断基準をもっているのか」「そのように考えた理由は何か」といったように深掘りをされることが多くあります。

    これはパーソナリティをより把握したいという考えが面接官にあるのに加え、思考体力(思考の深さ)についても見られています。二度、三度突っ込まれても回答できるように自身の考えを言語化しておくことを心がけていただければと思います。

    また、回答の内容についても大切ですが、端的に結論から回答できているかどうかといった論理能力や置かれていた状況が正しく把握できているかといったような構造把握能力も併せてチェックされていることを念頭に面接対策をしていきましょう。

    具体的な質問例

    • これまでの職務経歴を簡単に説明してください
      • 単純にスキルや経験のヒアリングをしているだけではなく、候補者の方がきちんと置かれているシチュエーションを構造的に把握ができているか、また端的に結論から物事を説明できるかどうかという点も確認されています。冗長になりすぎないように気をつけましょう。より具体的な数字(目標に対する実績や改善効率など)を使って説明することでわかりやすさもUPするため意識しておきたいところです。
    • 現職へ入社を決めた理由は何ですか
      • 目的を持った行動がとれるタイプの方なのかどうか、きちんと自分自身が重要視している項目(モチベーションのスイッチとなるもの、こと。大切にしている価値観など)を把握しているかを確認しています。また、候補者にとって何が意思決定のキーポイントになるかも確認しています。
    • 現職で最も貢献したことは何ですか
      • 成果や実績について確認をする質問です。また、候補者の方が貢献した実績だと認識している業務がどの程度の難易度だったのか、応募しているポジションでも同じように貢献してもらえる可能性があるかも見られています。
    • 現職で成果を残せたのはなぜですか
      • 運やタイミングによって成果を出せたのではなく、きちんと課題の設定からプロセスの設計を通じて計画的に出すことができた成果なのかどうか確認しています。転職をしてもリクルートで再現性のある成果の出し方をしてきたのかどうかをチェックしています。
    • 過去最も苦労したこととその乗り越え方を教えてください
      • 困難に直面した時にどのような行動を取るキャラクターなのかを確認しています。最も気をつけないといけないのは周囲の環境やひとのせいにした発言をして他責傾向がある人だと思われないことです。失敗談なども同じですが失敗をしたことにフォーカスをして質問をしているのではなくどのようにリカバリーしたのか、失敗や苦労を糧にどのように行動を変容していけるのかを伝えましょう。
    • 業務上の課題に対するアプローチで工夫していることはありますか
      • 課題の見立てや解決方法の仕立てる力を確認しています。またアプローチ、着目点の独自性などもチェックすることで思考の柔軟性も見ています。
    • 現職の退社を考えているのはなぜですか
      • いわゆる転職理由を聞いています。転職理由にはポジティブな側面(これからチャレンジしたい仕事や身につけていきたいスキルなど)とネガティブな側面(現職に対する不満や変えることのできない物事)の二つが混在していることが当たり前です。伝え方は大切ですが変に隠すことなく、二つの側面をバランスよく、考えた背景も含めて説明しましょう。
    • 現職を選んだのは正解でしたか
      • 少し意地の悪い質問ですが答えを「正解だった」とするのであれば「●●という観点では正解だった」と範囲を限定的に答える方が無難です。もしくは「当時の自分自身にとっては正解だったが、働いていく中で●●という想いも生まれ・・・」と考えの変化を伝えるのも良いと思います。いずれにせよ転職活動をしている=現職に対して多かれ少なかれネガティブな側面があったり、変化を求めている、ということになるからです。
    • 現職では成長できない理由
      • 転職理由や志望動機に「より成長したいから」という回答を用意する方も多くいらっしゃいますが、そのような回答をした際に突っ込まれる質問です。まず「成長」というワード自体が定義が曖昧なため、自身にとっての「成長」とは何なのかをきちんと説明した方が無難です。また特に注意したいのは成長できない理由が自分の努力で解決できそうなことになっていないかどうかです。努力で解決できないこと(現職の社風や体質など)であれば問題ありませんが、そうでない場合他責だと受け止められる可能性もあるため注意しましょう。
    • 転職してまで手に入れたい、実現したいものは何か
      • リクルート特有かもしれませんがご自身のWILLに関する質問です。なぜ転職というリスクを冒してでもフィールドを変えていきたいのか、またその背景にはどのような考えや感情(モチベーション)があるのかを説明しましょう。未来の話になるため最も言語化しづらい質問になるためきちんと回答を準備をしておきたい質問です。
    • なぜいまこのタイミングで転職を考えたのか
      • 転職を考え始めた動機を確認する質問です。この質問に対する回答は転職理由にも繋がります。ご自身の内発的な動機やキャリアの志向性もきちんと伝えることで面接官にとっても納得感のある理由を説明できるようにしておきましょう。
    • 過去の進路(高校・大学・留学など)選択理由
      • 過去の比較的大きな意思決定において何を重要視してきたかを問う質問です。中途採用においては比較的出現率の低い質問にはなりますがリクルートの面接の場合、特に20代前半の方が候補者となると現職でのパフォーマンスや業務に関する質問だけではパーソナリティが把握しきれないため言及される可能性があります。
    • 周囲や自身からみた自分像の説明
      • いわゆる「メタ認知」に関しての質問です。一回の面接はおよそ1時間程度なので候補者のパーソナリティを把握するには短すぎる時間ですが、それでも面接官はコミュニケーションを通じて候補者に対して印象を持ちます。その印象と候補者自身の自分像の説明に大きなズレがないか、周囲からの印象を聞いた時に面接の受け答えに違和感を感じないかをチェックしています。
    • 「これ」がなくなったら自分ではないものは何か
      • 特に正解がある質問というわけではなく、キャラクターやモチベーションの源泉、価値観などを確認している質問になります。リクルートは面接評価の高い候補者に対しては口説いて入社の意思決定を促す会社なのでどのようにアプローチをすると心情を動かすことができるのかを確認するような質問も投げかけてきます。
    • 将来なりたい像・ありたい姿とその理由
      • こちらもご自身のWILLに関する質問です。理由背景まで確認するのは回答が場当たりで答えているのではなく、どの程度本気でその将来を考えているのかをチェックするためです。目的意識を持った転職なのかどうか、候補者の思い描く将来像のプロセスにリクルートという会社が適切なのかどうかを判断するため、といった観点もこの質問には含まれています。
    • リクルートで何をしたいか
      • いわゆる志望動機にあたる質問です。リクルートは会社に対するロイヤリティをものすごく求める会社ではないため、志望動機に関する質問を候補者の入社意向、意欲の強さを図るためには使いませんが、リクルートのビジネスや業務内容自体への興味関心については当然求めるため最低限応募しているポジションの概要などをチェックした上で回答を用意しましょう。

    よくあるお見送り理由

    リクルートは面接の難易度が高く落ちてしまう方も多くいらっしゃいます。

    面接のステップごとに落ちる理由に傾向はありますが例えば一次面接(面接官:現場GM)→二次面接(面接官:現場部門長)→最終面接(面接官:人事部長)という流れだった場合、一次、二次面接で落とされる理由はスキル・経験の不足やミスマッチであることが多く、最終面接で落とされる理由は仕事に対するスタンス面や志向性などリクルートが社員に求める4つのスタンス、6つのスキルに関する事項が多い印象です。

    せっかく一次面接、二次面接、SPIと通過したとしても最終面接に落ちたとあっては後悔もひときわ強くなってしまいます。そのようなことにならないように下記にリクルートの面接においてお見送り(不採用)となる理由の中で特によくフィードバックされるものを列挙します。面接対策をしていく中で質疑を想定していく際、回答しようと考えている内容が下記の項目に当てはまっていないかチェックしましょう。

    スキル・経験が足りない

    本来であれば書類選考の時点で落ちるのですがリクルートは人物面も重要視する傾向が強いため、年齢やバックグランドとして持っている経験を総合的に勘案した結果、書類上はスキル、経験が足りないが一度面接してみよう、となるケースもあります。しかし面接で新しいスキルをキャッチアップしていくことが難しそうと判断されると、スキル経験を理由に落とされます。

    話が冗長、具体性がない

    一方的な会話や回りくどい会話等は論理的思考力や構造把握力が欠けていると判断されます。詳しく伝えようとしすぎると回答も長くなってしまいがちですが、面接官の質問意図を想定しながら、結論から簡潔に伝えることが重要です。

    主体性がない

    リクルートではどのような立ち位置であれ自らが主体者となり物事を推進していくことが求められます。そのため日常的に意思、意見の発信が求められます。過去の様々な場面での意思決定においてどのように主体性を発揮してきたかを伝えることが重要です。

    過去の失敗が許容できていない

    失敗は誰にでもあります。大事なのはその失敗を認めた上で繰り返さないためにどんなことを考え、行動しているかです。例えば高校・大学・会社選びや仕事・人間関係上で失敗と思えることがあった際には、隠すことなくその失敗を素直に伝えることがベターです。

    当事者意識がない

    何か壁にぶつかった際に物事を自責(自分の責任)に置き換えて考えることができるかを重視します。他責(他人や環境の責任)で考える傾向が回答に見られた場合は一発でアウトになります。候補者のスタンスを図る上で最も重要な項目といえます。

    入社後の貢献、活躍イメージが沸かない

    現職での活躍が転職後の企業においても再現性があるかどうかは一般的にも面接における重要なチェックポインです。選考中のポジションの事業モデルやサービスについて理解を深めた上でなぜ自身のスキル経験が役に立つのかを論理的に説明できるようにしておきましょう。

    成長欲求と貢献欲求がアンバランス

    年齢が特に20代後半以降の場合、自身の成長欲求だけではなく、成長した上で世の中にどう貢献していきたいのかという視点、視座も求められます。自己成長欲求は重要視されますが、成長したい理由や成長後の姿が利己的な視点に囚われている場合は敬遠される傾向があります。

    メタ認知能力が低い

    簡単に言えば自分自身を客観視することができていないことを指します。自分の自分に対する評価と他者からのあなたに対する評価に乖離が大きいと判断された場合、メタ認知能力が低いと面接官から評価されます。リクルートでは周囲と協業しながら推進していく業務も多々あるためメタ認知能力の低さはパフォーマンスの低さに直結しやすい傾向にあります。

    面接形式と服装について

    2022年現在リクルートの面接は一次選考から最終選考まで全てオンライン形式にて実施されています。コロナ禍においては他の企業もお同様の形式が多いため違和感を感じる方も少ないかと思いますが、実は2021年前半までは最終選考以外はオンライン形式、最終選考は対面形式で実施されていました。人物面を重要視し、いわゆるノンバーバルスキルにも着目するリクルートらしい部分とも言えるかもしれません。

    候補者の方からするとオンライン形式の面接は緊張しずらく受容しやすいものと言えます。一方で画面越しでのコミュニケーションとなるため雰囲気や熱量といった言語化しずらいパーソナリティの部分が伝わりづらいため注意も必要です。

    またインターネット環境によっては面接官の質問が聞き取りづらいシーンも出てきやすいため、意図ズレした回答をしないように気を付ける必要もあります。このようなシーンでは臆さずに質問が聞き取りづらかった旨を伝え、質問の意図をきちんと確認するようにしましょう。

    次に服装についてです。

    リクルートは非常にフランクかつカジュアルな社風のためスーツを着用している方がとても少ない会社です。そのため面接官の方もカジュアルな服装で出てくる方が多く、スーツで面接に臨むと面接官側から少し違和感を感じられてしまうかもしれません。

    一般的に言われるビジネスカジュアル(冬場であれば襟なしシャツにジャケットやキレイ目なカットソー、ニットなど、夏場であれば無地のTシャツやポロシャツなど)であれば問題ありません。

    逆質問に関して

    逆質問とは面接の最後に「他に何か聞きたいことはありますか?」と聞かれるものを指します。ただし、リクルートの面接は会話のキャッチボールをしながらフランクに進むケースが多く面接の途中段階で疑問点が解消できることも多々あります。そのため特に必要がなければ無理をして捻り出すよりかは「面接の中で十分情報をいただけたので現段階では疑問点はありません。」と伝えていただくのが良いでしょう。

    逆質問の目的は転職を考えている候補者の方が次の働くフィールドを選ぶにあたって、自分の判断軸と照らし合わせた時に不足している情報を収集することです。目的から逸脱したや必要性が感じられない質問は逆に不審に思われますので気をつけてください。

    • チームの構成やメンバーの職務経歴のバックグラウンド
    • 縁あって入社したときに昇格していくために必要なスキル、経験
    • 選考を受けているポジションの具体的な業務内容、仕事の流れ
    • 組織、チームの課題と採用背景

    例えばこのような項目であれば質問の必要性も理解できる内容なので問題はありません。逆質問は特に正解があるわけではないのでご自身が転職するにあたって必要な情報をきちんと整理しておきましょう。

    面接ケーススタディⅠ

    なぜ転職しようと思ったのか

    自分で変化を起こせる環境で働きたいと思った。現職では、プロダクト開発管理の仕事をしているが、技術的な事が多くとりまとめ役が多いので、もっと自分で手を動かしてビジネスを作れる仕事がしたいと思った。また、プロダクトの寿命が長く改善などに長期間かかるため、プロダクトライフサイクルが短く柔軟に対応できるウェブやサービス関連の事業開発に携わりたい。

    なぜ事業開発をやりたいのか

    昔から自分なりの工夫や考えがその人にとって少しでもプラスになるときに嬉しさを感じていた。なので、そういった人の人生が少しでもプラスになる事業を自分で一から作れるようになりたいが、ビジネスにおいてはやりたい事と収益化とのバランスが必要になるため、事業開発が一番ユーザー側、ビジネス側のバランス感覚が早く身につくから。

    今後5年後どういう人、仕事をしていたいのか

    マーケティングをやりたい。現職ではプロダクトそのものが出来る事ではなく、プロダクトが与えてくれる経験そのものに価値を見出す人が多い。事業開発では種を育てるところから始めていくが、その後の出来上がったプロダクトまたはサービスの最大価値を発揮させるための戦略作りをやりたい。商品が実際に与える事の出来る価値ではなく、そこに付加価値を作りあげていく事で商品の可能性を広げる事で、一連の事業立ち上げを学ぶ事が出来ると考えている。

    仕事で失敗した事は

    あるプロジェクトで上長からの承認が期日に間に合わず、その後の遅延のリカバリーのために各関係部署に調整してもらった事。どういったデータや資料構成であれば上長から承認をもらいやすいかを詰め切れず、差し戻しを繰り返し期日に間に合わなくなってしまった。サービス自体に影響はないが、関係部署に納期を早めるよう交渉してもらうなど、余分な作業が発生してしまった。限定的な視点で進めていたので、受け取る人がどういった視点で見るかを意識するようになった。

    現職ではグローバルで活躍していると思うが、そこはいいのか

    英語は自分の強みであるが、あくまでもコミュニケーションの一手段としてとらえているのでマストではない。

    周りからどんな人と言われるか

    しっかりしていると言われる。例えば旅行の際に、どこに行きたいかをまとめ一番効率よくまわれるプランは何かを考えたりする事が得意で、すぐに決める。

    面接ケーススタディⅡ

    一番仕事で大変だったことはなにか

    部品交換プロジェクト。品質改善のプロジェクトが立ち上がった際にメンバーとしてジョインしたが、分析チームや解析チームの土台がまだできておらずどこを集中的にやるべきか設定が出来なかった。そのためチームごとに役割を再認識してもらい、分析データをもとにどこに一番課題が多そうかを出し、それに対してパリ側と対策品についての対応を話し合った。すでに改良部品は海外側で開発が進んでいたので、生産・納品を早めてもらい部品調達から交換作業、運用までを調整した事。

    調整といったが、アクションを起こした時に関係部署はすぐに許諾してくれたのか

    全体的にすでに業務量は多かったので、最初は一部の部署は受け入れてくれなかった。ただ、作業量だけではなく、後々故障が下がりクレームが減る事で空いた時間をさらなるサービス開発や企画にあてる事が出来る、といったメリットを繰り返し説明し納得してもらった。

    現職の営業部門にいた時にやっていた事で大変だった事はなにか

    営業部門にいた時は、付属品の販売戦略を企画していて、メーカーと営業の間にたつ役割だった。ただ、付属品は端末と比べて粗利が低く、どうしても営業も代理店も優先度が下がる。しかし会社としての利益にアドオンにはなるので、まずは営業との信頼関係を築くために電話や直接赴くなどダイレクトなコミュニケーションを心掛けた。また、営業が提案しやすいように成功事例の横展開や資料を作成したりして、まずは提案しやすい土台作りを心掛ける事で、代理店との商談に持っていける事が増えた。

    転職ではなく現職でも新規事業のチャンスはないのか

    4年間現職に努め、事業を進めるスピード感やビジネス感覚はやはり強みだと思う。ただ、やはりボトムアップの文化が弱いので自分から変えていける環境で自分をもっと試したかった。

    プライベートで好きな事はなにか

    体を動かす事。新しい事をやってみるのが好きなので、定期的に新しいアクティビティを友達と行ったりしている。

    今までで一番つらかった事はなにか

    高校で留学した時に、楽しい高校生活を思い描いていたが最初の3か月は友達が出来ず相手にされなかった事。日本人という珍しさから話しかけてくれるだろう、と思っていたが自分から話しかけないと話が始まらず、かつ会話もうまく続かず相手にしてくれなかった。

    どうやって乗り越えたのか

    3か月たったくらいからこのままではいけない、と気づき、辞書やジェスチャーを使ってコミュニケーションを続ける事でだんだんと打ち解けていった


    このようにリクルートの面接はかなり事前の対策が必要になるため

    この辺りの記事も参考にしていただきながら十分な事前準備をしていただければと思います。


    Yuichi Takasaki/ Cantera Inc. founder。
    HR領域において10年以上人事・ヘッドハンティングを経験。組織人事コンサルティングから若手〜CXOクラスへのキャリア支援まで幅広く活躍。リクルートグループには特に強いコネクションがあり、同社内でもトップクラスの実績を誇る。

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