リクルートの面接対策/成功・失敗事例から学ぶ面接チェックポイント

リクルートの面接はなぜを繰り返し深掘りをされることで有名です。なぜそこまで切り込んだ質問をするのか、いったいリクルートにふさわしい人材とはどのような人なのか。成功事例、失敗事例を知ることでリクルートが中途採用の面接でどのようなポイントを気にして質問してきているのかを理解することができます。

過去実際にリクルートの中途採用面接に進まれた方に対する面接フィードバックをもとに年齢やポジション、面接ステップといった情報も参考にしながら面接対策を進めていきましょう。

目次

面接通過(成功)事例

まずは面接を通過した成功事例を見ていきましょう。コーポレート系職種やビジネス系職種、さらに年齢についても幅広く事例をピックアップしています。面接評価欄を確認いただくことで、人物面や仕事に対するスタンスについて面接でどのようなことがチェックされているのか、また現職においてどのような実績があると評価されやすいのかがわかります。

ケース1:30代男性/一次面接通過事例

ご経歴事業会社(Webサービス)出身/32歳
ポジションプロダクトマネジメント
面接官人事リーダー
ステップ一次面接
面接結果通過
面接評価しつこく思考する体力やメタ認知力が一定あられる方で、かつ規模は小さいながらプロデザ・マーケの動きを責任者として経験されています。若くして短期間でメンバーからマネージャーになっており25名ほどをマネジメントしていることも評価ポイントです。思考の深みや、構造化力といった点はこれから伸ばしていくポイントではあるものの業務の中で伸ばすことができる素地はお持ちであると見受けています。
人物面でいうと聞き手への配慮、メタ認知については現メンバと同等レベルです。高揚性/素直さ・愛され力/端的さについては今一歩でしたが、大きな懸念ではないと感じます。業務に向き合うスタンスについても自ら納期を決めて逆算しスケジュールを立てて、やり切るスタンスがあります。とはいえ、これが大規模なリクルートになると自分の役割を超えた動きができるかはまだ未知な部分もあります。
ビジョンを打ち出し巻き込む力・推進力については、小規模であるものの経験されています。一方で、構造化力・仮説設計力/問題特定力・プロセス構築力については、そもそも発揮する経験がなくこれから伸ばしていくポイントです。これまでの経験は、当たり前レベルに機能を充実させるためにA/Bテストを行い数字が良い方を実装していくというやり方となっており、顕在化した打ち手を具現化してきた感じです。
現職は圧倒的なシェアを誇っており、攻めたプロダクトづくりや機能改善は求められず、ある種保守的な動きとなっていて、その中でも変えようとしているが、将来の自分の成長を考えた際に限定的な打ち手しか打てなくなる人になるのではと危惧されていましたが、そこにどこまでのモチベーションの源泉があるかというと、具体の原動力に足るお話は出てこなかったのが本音です。何故身近な人を幸せにしたいのか?について考え切れておらず、渇望欲求が何なのか?より内省いただく必要があると感じています。

ケース2:40代男性/一次面接通過事例

ご経歴弁護士法人出身/40歳
ポジションソリューション法務
面接官現場GM
ステップ一次面接
面接結果通過
面接評価スキルセットとしては非常にポジションにマッチすると感じています。マーケットの中で希少性の高い人材として捉えています。また温和なお人柄でもあり周囲と協業していく必要の高いこのポジションにおいて十分にご活躍いただける素地があると考えています。一方で懸念としては、事業会社の経験はなく仕事の進め方などがまだイメージの域を出ず、どこまでの早い立ち上がりができるのかは未知といったところです。(ただ確実なスキルセットがあるので大丈夫だとは思うっています)この立ち上がりという意味を込めて部門の意向としては早めに高いミッショングレードを任せるよりは、半年くらいでキャッチアップしていくことを想定してグレードを考えていきたいと考えています。

ケース3:30代男性/二次面接通過事例

ご経歴監査法人出身/37歳
ポジショングローバルアカウンティング
面接官現場部長
ステップ二次面接
面接結果通過
面接評価これまで経験してこられているIFRSやM&A、連結実務など幅広い業務経歴について非常に魅力的だと思っています。 ハードスキル、ナレッジレベルは現組織のメンバークラスではトップクラスだと感じました。 お人柄もよくコミュニケーションも闊達でリクルートで働くことに魅力や共感を感じてくれていることも好印象です。 一方でグローバル対応力などはご経験がそこまでない中で、ある程度年齢が高目のため、お互いどこまでマッチ度が高いのかは次回以降で再検討していきたいと思っています。 また、監査法人ご出身の方にはよく見られる傾向ではあるものの、自ら何かを作りにいったりするような経験はなく、あくまで与えられる環境やミッションに対して高い成果を出すことのできる印象であるため。 マネージャークラスでの採用を考えるとリクルートでは、自らリードしていくというところは今後求めざるを得ないため、その点についても見極めていきたいと考えています。

ケース4:20代男性/最終面接通過事例

ご経歴外資系戦略コンサルティングファーム出身/29歳
ポジションプロダクト戦略企画
面接官人事役員
ステップ最終面接
面接結果通過
面接評価自然体で親しみの持てる心地の良いコミュニケーションが取れる方でした。コンサルとして議論慣れしており、短期間で未知の領域における知識をキャッチアップしたり、顧客と曖昧な課題を整理しながら課題解決のための道筋をバックキャスティングして見える化するプロセスに参加してきています。キャリア観についてもある程度興味関心の高い事業、産業が見えてきており、事業責任を持ってうまくいかせるような経験を積みたい、事業機会(マネタイズ機会)を探す、グロースさせていくという経験が積みたいという目的があるのも評価ポイントです。
情理と合理のバランス感も高く、判断力、馬力、ハードワーク耐性が感じられ入社後どのポジションでも一定の活躍が期待できるユーティリティプレイヤーとなりそう。コンサルのジレンマ(エンドユーザーに向き合えない点)を認識し、第三者として事業企画に携わってきている点も事業会社の中で生かせそうなポイントでした。
しいて懸念をあげるとすると、複雑な数字はそこまで見てきていない点。過去のご経験からビジネス検討経験~実行の部分の強さはそこまでない(コンサルなので当たりまえですが)という若干の懸念点もありますがさして問題にならないと思います。

面接お見送り(失敗)事例

続いてお見送りとなってしまった事例を見ていきましょう。地頭やスキル・経験、業務に対するスタンスなど懸念ポイントとして挙げられている項目を確認いただくと面接対策の中で注意をしておくべきことがわかります。

ケース1:30代男性/一次面接お見送り事例

ご経歴外資系コンサルティングファーム出身/ 33歳
ポジション事業企画・事業戦略
面接官現場GM
ステップ一次面接
面接結果お見送り
面接評価コミュニケーションの癖はある方でしたがクリティカルなレべルではないためそこまで気にはなりませんでした。コンサルティング会社ご出身であったので論理性やプロダクトマネジメントにおけるスキルを一定期待していましたが
「モノゴトを簡潔にご説明いただけない」「プロダクトマネジメントの経験値がそこまで高くない」「数値でちゃんとプロダクトを回した経験がない」ことが受け答えの中から見受けられたためお見送りとさせていただければと思います。「担当したプロダクトのKGIはなんだったんですか?」とお聞きした際に、KGIはこれとこれとこれで…といったかんじでスルッと出てこないシーンも多く、経験値が少ないのか、もしくは難しく考えすぎているのかな?という印象で、ご年齢も踏まえると即戦力性を感じられませんでした。

ケース2:30代男性/一次面接お見送り事例

ご経歴飲料メーカー出身/30歳
ポジション経営支援
面接官現場GM
ステップ一次面接
面接結果お見送り
面接評価面接の中において受け答えの間に違和感を感じました。こちらの質問が終わらぬ間に食い気味に回答してくることが複数回あったり、食い気味に回答してこられるせいで質問を2回に分けなければならなくなったり、コミュニケーションがちぐはぐするという感じです。今回のポジションは子会社の役員など自分よりも上位レイヤーの方とのコミュニケーションも多く、利害関係が対立している中でも物事をスムーズに進めていく必要があるポジションです。しかしながらこのようなコミュニケーションスキルだと相手に不快感を与えかねない、スムーズに会話を進められないことが予想されるほか、上から目線だと感じられてしまうこともあるため他部署との協働に懸念が強いです。
スキル面はやや及ばない程度で管理会計やファイナンスで経験を積みたい志向踏まえても十分に合格レベルなだけに非常に残念ですがお見送りとさせていただきます。

ケース3:30代男性/一次面接お見送り事例

ご経歴メガバンク出身/38歳
ポジション投資マネジメント(戦略M&A)
面接官現場GM
ステップ一次面接
面接結果お見送り
面接評価年齢と年収を鑑みたときにリクルートのなかでもシニアとしての位置付けを前提としたときの評価となります。 ディールのオリジネーションについてはいろいろなケースを経験してきていますがいわゆるエグゼキューションの経験が多くはありません。それ自体がネガティブなわけではありませんが、現組織に所属しているシニアと比較すると経験値が不足しており、突出する経験がないとこがネックです。 また事業会社、特にリクルートでやりたいことがとてもふわふわしている印象で受け答えの抽象度が高く、シニアとしてこの意識では組織リードできないため難しいと感じました。このことからもキャラクター的に投資マネジメントで仕事をするイメージが湧かないため次回の選考にお進みいただくのは難しいです。

ケース4:20代男性/二次面接お見送り事例

ご経歴政府系金融機関出身/27歳
ポジション事業企画・事業戦略
面接官人事GM
ステップ二次面接
面接結果お見送り
面接評価自然体で穏やかなインターフェースを持たれながらも、中身は非常に前向きな実行力を持たれた方で、好感を持てる素敵な方だと感じました。ただ、結論としては、今回はお見送りとさせていただければと思っております。
これまで営業、財務分析、審査など幅広くご経験されており、ファイナンスのベーススキルはお持ちだと思います。
特に、クライアントから事業計画を作ってほしいとのオーダーを、未経験かつ情報のない中でやり切ったご経験からは答えのない状況のなかでも、コツコツと泥臭く努力できる方だということがうかがえました。顧客の課題のために行動するのは何も苦にならないんです、という発言がさらっと出てくる点からも、自然と顧客のために努力できる方なのだと思いました。
ただし、27歳でコツコツ泥臭い努力はできるし定量的な分析などのご経験もある、しかしトップラインをあげるような企画経験はなし、というポテンシャル人材という前提だと、スキル・スタンスの面でキラリと光る強みのようなものを感じるエピソードを伺うことができず、今後の成長イメージが湧きませんでした。
・絶対にこれがやりたいんだ!こうなりたいのだ!というような強い内的なエネルギー
・周囲と協働で発揮される、より高いレベルでの対人関係構築力
・ものすごく厳しい状況を乗り越えられるプレッシャー耐性
といったような何か1つでも、引っかかるポイントがあれば「この強みを活かして成長していただけそう!!」と思えたのですがそういったストロングポイントを面接の中では確認できませんでした。

リクルートの面接対策で重要なこと

ここまでリクルートの中途採用面接での成功事例、失敗事例を挙げてきました。

特徴としては

  • スキル、経験
  • 地頭
  • スタンス

それぞれをバランスよくチェックすることです。

スキル、経験は選考を受けているポジションにおけるリクルート側の期待事項に対してのフィット感、さらに年齢に応じたレベル感が求められます。

地頭はいわゆる学校偏差値によって測られるような計数計算の能力だけではなく、構造的に物事を捉えて端的にアウトプットできる能力、さらに物事を深く考えることができるかどうかという思考の深さが求められます。この辺りは想定される質問をもとに面接対策をしておくことである程度対応できる項目でもあるので事前準備を怠らないようにしましょう。

最後にスタンスについては当事者意識の高さや、他者との協業などいわゆるリクルートの大事にする4つのスタンスに当てはまる項目についてチェックされます。また面接での受け答え、コミュニケーションから醸し出される雰囲気によっても面接官の印象は左右されるものなので心配な人は転職エージェントや友人など第三者に協力を仰いで対策をしていきましょう。

さらに特徴的なのはリクルートの面接ではスキル、経験・地頭・スタンスのどれかが突出していたとしても選考には通過しづらいという点です。すべての項目においてバランスよく評価されることが重要になります。

面接対策に多少時間がかかったとしても十分な準備をしてから臨むことが成功の秘訣になります。


Yuichi Takasaki/ Cantera Inc. founder。
HR領域において10年以上人事・ヘッドハンティングを経験。組織人事コンサルティングから若手〜CXOクラスへのキャリア支援まで幅広く活躍。リクルートグループには特に強いコネクションがあり、同社内でもトップクラスの実績を誇る。

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